▼…徳島に出張の帰り道、淡路島の洲本に足を延ばした。ついでのようでいて実は、かねてからこの機会をうかがっていた。ここは、新聞記者時代に3年間過ごした北海道静内町(現・新ひだか町)の姉妹都市で、NHKのテレビドラマをきっかけに観光ブームを呼んだ「お登勢」のふるさとでもある。
▼…静内は映画「北の零年」の舞台にもなったように、明治初期に稲田藩士が洲本から移り住んだ地。歴史の時間経過から見ると、ドラマお登勢は映画零年のいわば序章に当たる。勤王か佐幕か。本藩である徳島藩との対立は、洲本での流血事件にまで発展した。維新という大変革の時代に思いをはせながら散策した。
▼…遠く月明かりに浮かぶ洲本城の天守は、今も戦いに備えているかのよう。早暁、海岸から急な坂道を上り詰め、そこに立って初めて、戦略拠点としての洲本の素顔を知った。北へ向かえば都は間近。南に進めば四国を飲み込める。秀吉が光秀との決戦を前に洲本を抑えておくことを忘れなかったのも肯ける。
▼…さて現代。明石海峡大橋や高速道の整備で交通の便は良くなったが、その分、島としての持ち味が薄れた気もする。人も物もあっという間に通り抜けていくからだ。一方で、特産の菜種を食用から燃料用まで徹底活用する菜の花プロジェクトや、風力エネルギーの開発も進んでいた。淡路が島の特性を生かし「リサイクル・アイランド」となる日を期待したい。