明日に向かって撃て!
 
 ▼…街角で1枚の看板に出会った。背後には朽ちかけた家並み。セピア色のラストシーンと、バート・バカラックの名曲「雨に濡れても」のメロディがよみがえってきた。Raindrops keep falling on my head 〜太陽にそっぽを向かれた主人公2人は、開拓時代の終焉とともに散った。ストーリーは、ここ夕張の運命ともどこか重なる。
 
 ▼…「炭都の英姿鬱然と」と高校の校歌にも歌われた夕張市は、人口12万人を抱え戦後日本の経済復興を支えた。しかし、エネルギー政策の転換、炭鉱事故の続発、そして閉山---。中田鉄治市長(故人)が先頭に立っての観光振興と企業誘致策が、いったんは光明をもたらすかに見えたが、巨額の借金を抱えて破綻に追い込まれた。
 
 ▼…負債600億円超、財政再建に数十年かかるともいわれる。再生の道は、国や道も含めた政治・行政の在り方など多角度から病理を明らかにするところから始まる。忘れてならないのは、赤字再建団体といえどもまちづくりの主役は市民はじめ地域のさまざまなアクターであり、そこから生まれてくる智恵と勇気が未来を決める。
 
 ▼…思い起こして欲しい。1951年、露地野菜に頼るだけの夕張市農協は再建整備組合に指定された。冷害も続き離散寸前の崖っぷちに立たされた農家は、「スパイシー・カンタロープ」という作物に命運を賭けた。品種改良までには10年もの歳月を要したが、今「夕張メロン」として全国ブランドを誇り、生産額は40億円にも達する。---看板は叫ぶ。「明日に向かって撃て!」と。
(梶)
 
Column
column  2006/08/02