特集 2001年 地域はどう変わる

2001/01/19

1. 財政危機

地方のビッグバン、迫られる変革

 21世紀冒頭の10年間は、地方にとって大きな変革の時代になるはずです。特に、2003年春の統一地方選挙を挟んだ前後4年間で新世紀のマチの方向が決定付けられるでしょう。2001年は、世紀末の混沌から新世紀の希望へとスイッチするための重要な年といえます。

■「勝ち組・負け組」の分水嶺

 変革を求める波は、人々の価値観・ライフスタイルの変容、産業・技術の革新、都市と地方の関係の変化などさまざまです。この中で地方財政の悪化が、否が応でも地方の変革を迫り、これにどう対処するかが、自治体を「勝ち組」と「負け組」に振り分ける最初の関門になるでしょう。

 地方が抱える借金(長期債務)は、2001年度末で188兆円に達する見込みです。下のグラフを見るとよく分かるように90年代に急増を続けており、10年前に比べると2.4倍もの水準になっています。借金の約4分の3を占める地方債残高の増大は、バブル景気の崩壊直後から始まっており、景気対策の色彩が強い公共事業が増えたことが背景にあります。

 景気の回復により大都市などは税収が増え、ある程度財政事情は緩和されるでしょうが、財政力の弱い多くの自治体は、国から配分される交付税と地方債に頼らざるを得ません。国の財政自体が破産寸前ですから、交付税に回せる国の財源は先細りが避けられず、それまでの地方財政の規模を維持しようとすれば、借金(地方債)に頼るほか道はありません。

■自治体の自己責任鮮明に

 しかし、2001年度から発行される赤字地方債(臨時財政対策債)に象徴されるように、これまでのような「地方債は交付税の前借り」という感覚は通用しません。地方自治の分野で化石のように残っていた「護送船団方式」は早晩姿を消し、国が後ろ盾になった「借金頼み」のマチづくりが限界に来ていることも現実なのです。
 財政危機が自治や行政、コミュニティのあり方を大きく変える「地方のビッグバン」の引き金ともいえます。

 とりわけ産業基盤が弱く、財政力が乏しい自治体が多い北海道は、厳しい時代に直面することを覚悟しなければなりません。しかし、逆風の中だからこそ、風の流れをうまく捕らえた凧は高く舞い上がります。

 風を待つのではなく、風に向かう。試されるのではなく、よりアグレッシブで個性的に。そんなマチが21世紀に光り輝くはずです。

 

| TOP | NEXT |