市町村合併を考える6-3

2001/3/16

 

新・道州制構想

どう描く、地方分権の将来像

 新・道州制構想の原点となっているのは、住民が主役の地域主導型の行財政構造を目指すことにあります。そのための条件が、国や県からの権限・財源の移譲であり、その受け皿となる自治体が自主自律の行政機能を持っていることです。  市町村が受け持つのは、地方分権の受け皿として身近な生活関連行政。つまり福祉、医療、教育、文化など多分野にわたります。したがって、小規模な町村ではこれらの行政を十分に担えるかが問題となってきます。新構想の多くが、基礎自治体を300前後の市(府)としているのも、「分権の受け皿」として考えた場合、一定の規模が必要であるからにほかなりません。

■人口15〜35万人でくくる

  PHP研究所の市町村に該当する「府」は、人口15〜35万人を単位として257という基礎自治体の数をはじき出しました。では、15万人という数字がどこから出てきたかというと、現行の3200余りの市町村について、人口規模や可住地面積と歳出額の関係を計算し、住民1人当たりの行政コストが最低になるのが15万人規模の自治体だからです。  読売新聞社の300市というのも、この行政コストの考え方を基本にしています。旧自治省が設定した365広域行政圏の「概ね10万人以上」、旧建設省が地方生活圏構想の標準とした「人口15〜30万人」なども算定根拠としています。  いずれにしても、新・道州制構想では、基礎自治体の人口規模を15〜35万人でくくる。さらにこれらの市(府)を20から30束ねて全国で12程度の「州」にして、複数の市にまたがる広域的な行政などを補完的に担わせようというわけです。

■住民交えた議論活発化を

  新・道州制の考え方に従った場合、現在3200以上ある市町村を300前後まで統合することになり、かなり大胆な市町村合併が必要になります。また、都道府県も市町村もともに地方自治体であるという現在の「二層構造」をどう再構築するかも、大きな課題となってきます。さらに、税源の配分を中心とした税制改革など難問が横たわっています。  ここでは、これらの課題に踏み込みませんが、市町村合併は単純に行政の効率性の追求にとどまらず、国〜都道府県〜市町村という行政のしくみそのものに関わるテーマであることを知っておく必要があります。道州制論は、地方分権の行き着く姿をどう描くか、ということでもあり、市町村職員はじめ住民も巻き込んだ形での議論を活発に行うことも必要でしょう。

 

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