続々・市町村合併を考える4-2

総務省・新指針のカンどころ(2)

2002/04/01

 

 民意反映。論議の円滑化促す

 総務省の第3指針では、合併協議を具体化させ、作業をよりスムースに進めるため、法定合併協の設置・運営の推進にも踏み込んでいる点が特徴です。

  合併に至る道筋は、有権者の50分の1以上の署名に基づく住民発議を経て法定の合併協議会が設置されるケースと、市町村や議会を中心にした任意の合併協議会から法定協議会に発展するケースとに大別されます。

 ■合併協設置に住民投票の道

  最近は首長が積極的に合併に動くケースも増えていますが、住民発議に対して首長、議会が壁となるケースも少なくありません。これまで101件の発議があり、うち71件は首長の判断(35件)または議会の否決(33件)により、協議会の設置には至りませんでした(3月14日現在)。中には福岡県志摩町(有権者に占める有効署名の比率59.4%)や長崎県郷ノ浦町(同72.7%)などのように、設置を求める住民の声が大きかったにもかかわらず、「不発」に終わったケースもあります。

 地方自治法・合併特例法の一部改正により、議会が合併協設置案を否決しても、首長判断か有権者の6分の1以上の署名があれば住民投票にかけられる道を開きました。住民投票で過半数が賛成すれば、議会の判断にかかわらず合併協を設置できるわけです。また、設置後半年以内の説明責任の明示・公表も義務付けています。

  住民投票制度の導入に対しては、全国市町村会や議長会が強く反発した経緯もありましたが、法案成立により、近く施行措置が取られる予定となっています。これにより、住民意思が直接的に合併論議に反映されるケースが増えていくことが予想されます。

 ■郵便局活用、電子自治体を推進

 一方、指針は、合併のデメリットとして挙げられている住民サービスの低下や、「住民の意見が施策に反映されないのでは」といった批判に対して、次のような具体策を列挙しています。

  1. 地域審議会の活用と、旧役場の支所としての利用
  2. 郵便局の窓口での住民サービス 
  3. 電子自治体の推進 
  4. 小学校区単位の住民参加などによる「わがまちづくり事業」の推進

 さらに、合併論議の過程で紛糾の要因となりがちな議員定数・身分の問題については、一定期間の任期継続など特例規定の活用の道を挙げています。同様に、市町村格差が障害となる上下水道や病院事業の会計対策については、合併特例債の活用を挙げるなど、論議の円滑化に配慮する内容となっています。

 

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