エコマネー「クリン」
北海道・栗山町

 住民参加型のまちづくりに活力

 エコマネーは、円やドル、あるいはユーロといった、国家単位や国際的に流通する通貨に対して、限定されたエリアだけで使用される「地域通貨」のことです。「自主通貨」とか「グリーンマネー」などとも呼ばれ、江戸時代に藩内だけで通用した「藩札」もこの一種です。

 ■福祉、環境、教育など多分野

 世界的にはこの10年余りの間に3千近いコミュニティで活用されています。一般の通貨が競争原理の中で流通するのに対して、エコマネーはコミュニティに所属する人々の信頼関係をベースに、互いに助け合うことを目的に循環する性質を持っています。経済性よりもコミュニティの充実に視点が置かれているわけです。

 エコマネーの流通目的は、地域のニーズに応じて果てしなく広がりを持っています。しかも、福祉、や文化など、実際のお金では対象にしにくいものも扱えるのが大きな特徴です。 99年9月に発足した「くりやまエコマネー研究会」のサービスメニューは、460種類9千項目にも上ります。介護、福祉を中心に、環境、教育、文化と広がりを見せ、ごみ減量や森づくりなどにこどもや商店街なども含めた住民参加型のまちづくり運動に発展しています。

 ■メニューはギブ&テイク

 この秋に実施した第2回目の試験流通の仕組みは、参加希望者が「サービスメニュー調査表」に希望サービスを記入し運営団体へ提出すると、「調査表」を基に「メニュー表」が作成され、紙幣・交換手帳とともに参加者へ配布されます。「メニュー表」から受けたいサービスを選び、感謝の気持ちとして紙幣「クリン」を支払います。価格は自由ですが、時間を基準に60分=千クリン、30分=500クリンが目安。支払いが終わった後、依頼者・提供者はそれぞれ自分の交換手帳に、日時・価格等その内容について必要事項を記入します

 表は、2月に実施した1回目の試験流通で、「クリン」の使用回数が多かったもののベスト20です。2回目の試験流通では、メニューの拡大に合わせて参加登録も倍の554人に上るなど、町民の関心が大きく高まっています。また、「できること」だけでなく「してもらいたいこと」をメニューに加えたり、地域コーディネーターの配置によってサービスを依頼ししやすい環境を整えるなどの工夫も凝らされています。