パブリックコメント活用法(3)

2001/05/14

 

十分な情報提供で住民を巻き込む

 釧路市は98年12月策定の「釧路市環境基本条例」に基づく「環境基本計画」づくりでは、審議会の検討作業だけでなく、ワークショップ開催などを通じて幅広く市民の声に耳を傾けることに努めました。昨年11月には、90ページにわたって環境をめぐる現状と課題、基本方針などをまとめた素案を公表するとともに、約1か月の期間を設定して素案に対する意見を市民から募集しました。

 ■パブリックインボルブメント

  釧路市ではこのほかに、中心市街地活性化や学校のあり方などについて積極的に市民の意見を募集し、施策決定に生かすパブリックコメントに力を注いでいます。こうした、市民と行政が対等な立場で政策について論じ、まちづくりを協働によって進めようという考え方は、「パブリック・インボルブメント(住民を巻き込む)」と呼ばれます。
  「パブリック・インボルブメント」の目的は、(1)政策の質と政策決定過程の質を高める(2)政策決定過程で行政と住民が情報を共有し、オープンで透明な政策を決定する(3)関係者が、政策の推移、問題点、解決策などを知り、それを理解できるシステムを用意する〜ことなどにあります。したがって、パブリック・コメントは、パブリック・インボルブメントを進めるための手法の一つということができます。

 ■事前説明とフィードバック

  ですから、パブリックコメントの実施に際しては、住民に対して十分な情報が提供されていることと、意見・提案した住民に対して十分なフィードバックが行われることが、重要な条件となります。つまり、事前の説明・情報提供が十分でなければ、住民から積極的なコメントを得ることは難しく、提案・意見に対して行政がどう対応したかを明らかにしなければ、住民の信頼を得ることができないということです。 

***  グラフは、2000年3月現在で総務省が行った、地方公共団体におけるパブリックコメントの導入状況に関するアンケート調査結果です。これによれば、政令市や都道府県が導入に積極的な反面、市町村が極めて消極的なことが分かります。

 

 

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