パブリックコメント活用法(4)

2001/05/14

 

結果公開し、住民にフィードバック

 右のグラフは、政府が99年度中に実施したパブリックコメントのうち、閣議決定対象案件256件について、提出された意見・提案・情報を件数ごとに区分したものです。1件も意見がなかったのが40%を占め、ゼロないし5件未満は全体の70%にもなります。その一方で、割合が少ないものの50件以上、100件以上意見が寄せられたものもあり、テーマや意見募集のやり方などよって、大きな差があることもわかります。

 ■理解が意見を提言に高める

  意見が多かった代表的なケースとしては、旧厚生省が行った「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(案)」 に対する意見募集が代表的で、実に92の個人、団体から合わせて577件の意見が寄せられました。これは、現代的なテーマということで新聞などマスコミが積極的に情報提供したこともありますが、その多くは医師、研究者ら専門的な知識を持つ人、団体からでした。
  このことは、市民・国民がパブリックコメントを求められた案件について、十分な理解と知識を持っていることが背景にあることを示しています。逆にいうと、テーマについて十分な情報を提供することで、より多くの、しかも具体的で踏み込んだ意見や提案を得ることができることを意味しています。
  パブリックコメントは、あくまでも住民参加を進めるための手法であり、審議会・委員会制度でしばしば問題視される「形式的手続き」とは相反するものです。したがって、パブリックコメントを活用するためには、次のような点に留意しなければなりません。

 ■待つだけでなく、聞きに行く

  第1に、事前に十分な情報を提供するための時間と場所を惜しまず、広報誌やインターネット、新聞などのメディアを上手に活用することです。また、一方通行の情報提供ではなく、双方向のコミュニケーションを心がけ、ワークショップや出前講座などの直接的な対話の場を設けることも重要でしょう。
  第2に、専門的なテーマであればあるほど、素人でも理解し発言できるように、できるだけ分かりやすい情報提供が求められます。場合によっては、コメントする人々の理解・周知度に応じて事前説明の内容を工夫することも必要となります。
  第3は、結果の公表もまた分かりやすい内容であると同時に、仮に膨大な量になっても、どんな意見が寄せられたか知ることができるように「生データ」を公表すべきでしょう。また、住民の意見が無視されることのないように、フィードバックシステムを確立することも重要です。

 

 

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